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抗体結合部位Fab fragmentFc fragment図1抗体の模式図。石坂公成は、抗原と結合しないFc fragmentの構造で抗体の生物学的性質が決定されることを証明した。1959年、前述のRodney R. Porterが、抗体をパパインで分解すると3分画(2個のFab fragmentと1個のFc fragment)に分けられ、その内抗原が結合すのはFab fragmentであると報告した。この時から、免疫学では抗体構造を研究することが課題となった。そこで、石坂公成は抗体構造のどの部分が生物学的活性に関与しているかを確定しようとした。そして、抗原と結合しない部分(Fc fragment)を重合させるとアレルギー性反応や補体結合を起こすが、Fabを重合させてもこれらの活性は認められないことを確認した(図1)。すなわち、抗体の生物学的性質はFc部分の構造で決定されることの確証が得られたのである。2)IgEの発見次に、これまでの動物実験で判明した機序がアレルギー患者でも認められるか否かを検討しなければならなかった。そこで、アレルギー患者の血清を正常の人の皮膚内に注射して、翌日その局所にアレルゲンを注射してアレルギー性反応の発現の有無を検討した。その結果、予想どおりに発疹の発現が確認された。以上の結果を踏まえて、この方法を駆使して免疫グロブリン分画の解析を進め、それまで不明であったレアギンの本体を追究した。1962年にレアギン活性が患者血清中のIgA分画に存在するとの報告が公表された。以来、多くの人が傍証をあげ、1964年の国際学会では、レアギンはIgA抗体であるということがほとんど定説となっていた。しかし、石坂らはアレルギー患者のIgA分画に抗IgA抗体を加えて、IgAを全部取り除いてもレアギン活性は消失しない事実を突き止めた。このことから、レアギンはIgA分画中に存在する不純物ではないかと考えるに至った。そして、レアギン活性を示すタンパクは非常に微量であり、血清1 mL中に約1μgしか含まれていないことも判明した。したがって、この微量なタンパクを純粋に分離精製するには、計算上数リットルもの患者血清が必要となり、性状を確認することは不可能に思われた。そこで、ウサギを用いてこの未知のタンパクと特異的に反応する抗体を作成させて、そのウサギ抗体を使って未知タンパクを確定することにした。すなわち、レアギンを含む分画で免疫したウサギの抗血清から既知の免疫グロブリンと反応する抗体成分を全部除去し、その後にアレルギー患者の血清に加えてレアギン活性が消失することを確認することによって、その抗血清中にはレアギンに特異的な抗体の存在が証明されることになると考えたわけである。実験を繰り返して、漸く目的のウサギ抗4 vol.0