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VIP Topics粗抗原でなく、主要アレルゲンを検査して治療すべきか日本全薬工業株式会社学術部地土井安芸子ハウスダストマイト(House Dust Mite;HDM)とは、チリダニ科のヒョウヒダニ属(Dermatophagoides)のダニの総称である。属名の「Derma」は「皮膚」を、「phago」は「食べる」を意味するこのチリダニ属のダニは、住居内のあらゆる場所に生息しており、人や動物の「フケ」や「アカ」を食べて生活している0.3 ~ 0.4 mm程度の小さなダニである。肉眼でなかなか目にすることが出来ないが、日本の一般家庭で行われた調査において1 m 3あたり84 ~2886匹のチリダニが生息していたとの報告もある1)。HDMはアレルギーの原因となる環境アレルゲンのうちで最も重要であり、犬アトピー性皮膚炎においても、抗原特異的IgEの解析の結果、チリダニ属が最も多く感作が認められるアレルゲンであることが知られている2, 3)。このチリダニ属には、コナヒョウヒダニ(D. farinae)とヤケヒョウヒダニ(D. pteronyssinus)が含まれ、HDMとは、コナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニの2種類だけを考えてまず問題ない。ヒトのアレルギー患者において、この2種類のダニに含まれる、アレルギーの原因となるタンパク質(アレルゲンタンパク質)についてよく解析されている。アレルゲンタンパク質とは、IgEを上昇させるタンパク質を指し、節足動物のHDMには数えきれないほどの様々なタンパク質が含まれており、現時点においては23種類のタンパク質がアレルゲンタンパク質として同定されている。ちなみに、アレルゲンタンパク質は、原因物質の属名の略と発見された順番を付けることで命名される。例えば、コナヒョウヒダニのアレルゲンタンパク質で2番目に見つかったものは、Der f 2(Dermatophagoides farinaeの2番目)と表示される。1996年に国内の74の施設において、犬アトピー性皮膚炎と診断された165頭の犬で特異的IgEを測定した山下らの研究では、最も陽性率が高かったアレルゲンはHDMであった(90頭、54.5%)。さらに、このHDMに感作された犬90頭について、HDMのアレルゲンタンパク質である、グループ1アレルゲン(Der f 1及びDer p 1)およびグループ2アレルゲン(Der f 2及びDer p 2)に対する特異的IgEの反応性を評価したところ、Der f 2に対する陽性率は74.4%であったことから、Der f 2は犬アトピー性皮膚炎に関与するHDM中の主要なアレルゲンタンパク質であると報告された4) (表1)。表1ハウスダストマイトIgE陽性犬におけるグループ1及び2抗原の感作犬頭数ダニの種類抗原陽性頭数(陽性率)D. farinaeD. pteronyssinusDer f 1(グループ1)40(44.4%)Der f 2(グループ2)67(74.4%)Der p 1(グループ1)7(7.8%)Der p 2(グループ2)20(22.2%)22 vol.0