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アレルゲン暴露血中IgE濃度アレルギー発症可能性あり100 ng/ml1 2 3 4 5 6 7 8 9 1011 12月図7アレルゲン暴露とIgEの推移の模式図。アレルゲン暴露が始まっておおよそ1カ月以内に血中のIgEは上昇し始める。暴露最盛期には最も高い値を示し、アレルゲンの季節が過ぎると3カ月目頃に低下傾向を示す。年間を通じて高めの値を維持する場合(上のライン)と、低めの値で推移する場合(下のライン)があるため、獣医師はアレルゲン暴露とIgEの関係を念頭に入れてIgE検査結果を判断しなければならない。ら1年ほどにわたって皮内反応の陽性反応が検出され続ける。肥満細胞自身もIgE受容体にIgEが結合することにより、IgE受容体から微弱な刺激が入り続けるらしく長く生きることができる11。このことから、アレルギー患者においてはIgEの血中濃度上昇は肥満細胞の寿命を延ばしてしまうため、IgEの血中濃度を上げないようにすること、すなわち原因アレルゲンを突き止めその暴露を回避することが肝要である。重要ワンポイント:IgEはいったん上昇するとアレルゲン暴露がなくなっても3カ月程度はその値を維持する。with IgE antibodies most commonly directed againstenvironmental allergens』(原文のまま引用) 12。日本語訳は、特徴的な臨床徴候を伴う、遺伝的素因による炎症性そう痒性アレルギー性皮膚疾患であり、その臨床徴候が主に環境アレルゲンに対するIgEに関連するものを指す、として良いであろう。臨床現場では、何らかのアレルゲンに対してIgEが上昇していて、かつ、特徴的な臨床症状(いわゆる痒みを伴う慢性の皮膚炎)を呈している場合として良いだろう。特徴的な臨床徴候特定の部位に痒みを伴う慢性の再発性の皮膚炎のことIgEが関与する疾患:犬アトピー性皮膚炎の定義犬アトピー性皮膚炎という診断名は2004年に設定された比較的新しいものである。当時、それを提案した背景として、イヌでこれまでに使用されてきた「アトピー性皮膚炎」という診断名が、ヒトのアトピー性皮膚炎と混同されることが問題となっていた。そこで、犬アトピー性皮膚炎国際会議(当時)では次のように「犬アトピー性皮膚炎」という診断名を設定した。『A geneticallypredisposed inflammatory and pruritic allergic skindisease with characteristic clinical features associatedを、犬アトピー性皮膚炎の定義では「特徴的な臨床症状」と呼ぶ。それは肘の内側、腋下、膝窩などの屈曲部の内側部位、手根部、足根部、趾間部、内股、腹部、外耳炎、頚部腹側、眼や口の周囲、肛門周囲のいずれか、あるいはすべてに皮膚病変がある場合を指す(図8) 12。さらに、アレルギーの関与を推測するために臨床現場でよく実施する方法であるが、これら皮膚炎が副腎皮質ステロイドホルモン剤の投与に反応して軽減することを確認するのは、補助的に有用である。ちなみに、このような特徴的な部位に起こる一連の症状を「アトピー性皮膚炎」と獣医学では呼んでおり、「アトピー性皮膚炎の犬」というように用いられる。例えば、嘔吐の(嘔吐を呈する)犬、14 vol.0