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特集:犬アトピー性皮膚炎1 IgEと犬アトピー性皮膚炎1抗ヒスタミン剤が有効抗ロイコトリエン剤やステロイド剤が有効アレルギー反応即時相遅発相抗原侵入15分後6?8時間~48時間図5 IgEによるⅠ型過敏症反応の二つの相。抗原(アレルゲン)侵入後15分程度で肥満細胞の脱顆粒による即時相反応がまず起こる。続いて、同じ部位に6時間以上経過した後、遅発相反応が起こる。それぞれ炎症性メディエーターが異なるため、前者は抗ヒスタミン剤によって、後者は抗ロイコトリエン剤や副腎皮質ステロイドホルモン剤で抑えなければならない。IgE定量検査システムの効果イヌにおいてはIgE定量測定系ができたことで、IgEの検査結果をこれまで以上に臨床現場に活かすことができるようになった。第一に、アレルゲン間でIgEの値を比べることができるため、どのアレルゲンが現在の症状発症にかかわっているかを推測することができるようになった(定性検査の測定値をアレルゲン間で比べることは学問上不可)。つまり、最も高値を示すアレルゲンが検査時点におけるアレルギー症状に関わっているだろうと解釈することができる。第二には、IgE値の推移を追うことが可能となったことで、より適確に原因アレルゲンを特定できるようになった。それ以前のIgE検査では陽性、陰性を判断する定性検査であったため、IgE値が陰性から陽性へ、あるいは陽性から陰性へと、大きく上昇あるいは低下しなければその動きを捉えることができず、「IgEは一生に一度測定すれば良い」という間違った観念が植えつけられていた。しかし、IgEはアレルゲン暴露(アレルゲンの体内侵入の程度)によって2? 3倍上昇したり、低下したりするため、IgE定量検査であれば、同じアレルギー症状が続いていても、その症状を引き起こす原因アレルゲンの種類が季節によって変化することがわかる。飼い主へもIgEはアレルゲン暴露時にはアレルゲン非暴露時期よりも2、3倍上昇することを説明しておくと良いだろう。IgE定量検査結果の数値を獣医師が解読することで、臨床においてよりきめの細かい治療方針を立てることができる。重要ワンポイント:IgEはアレルゲンの暴露状況によって、すなわち季節によって増減する。IgE検査は症状が出ているときに実施するのが良い。IgEが起こすアレルギー反応:Ⅰ型過敏症IgEが体内に生じると発赤や膨疹、痒み、くしゃみ、咳、嘔吐、下痢など多彩なアレルギー反応が起こる。1963年にクームスとゲルは免疫の過剰反応を4つの型に分類した。IgEが関与するアレルギー反応はその中のひとつ、I型過敏症に分類されている。Ⅰ型過敏症反応はIgEが肥満細胞と結合することで生じ、最終的には肥満細胞の脱顆粒により顆粒中のヒスタミンが組織内に放出されることで炎症反応が引き起こされる(図4)。この反応の代表的な臨床例として、アナフィラキシーショックや犬アトピー性皮膚炎がある。この反応は原因アレルゲンが体内に侵入して即時に開始されるため、即時型反応とも呼ばれる。また、Ⅰ型過敏症反応には2回の炎症反応が含まれており、炎症が起こる時間によって分類される。アレルゲン侵入後15分程度で最初に起こる反応相を即時相と呼び、続いて5、6時間以降48時間以内に起こる反応を遅発相と呼ぶ(図vol.0 11